女性につきやすい脂肪の原因・対策
脂肪そのものは男性も女性も変わりませんが、女性の場合、子供を生み育てるという本来の特性を持つために、男性より多くの脂肪を蓄えています。
女性の体全体が丸みをおびているのは、子供を生み育てる際の飢餓に備えて、皮下脂肪を貯えているからです。また、おなかの皮下脂肪も、妊娠中の胎児を保護したり、大事な臓器を保護するためにも一定量は必要となります。
母体という特性をもつ女性は、身体の変化の面でえも特徴的で、幼児期、思春期、性成熟期、更年期、老年期といった生涯の区分が、男性に比べてはっきりしています。これは内分泌環境の変化、つまり女性ホルモンの働き方が変わることからきています。
女性ホルモンはさまざまな働きをしますが、脂肪を作る手助けをすることもそのひとつです。
女性の体の脂肪は男性より10%ぐらい多いと言われていますが、これも女性ホルモンが多いからです。
思春期の女性の脂肪
小学校高学年になると内分泌腺の活動が盛んになり思春期となります。この時期は親の生活態度が子供を左右しがちです。食べ過ぎ、不規則な食生活、運動不足など好ましくない生活習慣を身につけないように、伸び伸びと運動することも必要な時期です。肥満児を生み出さないよう注意しましょう。
また、思春期を迎えるころ女性ホルモンの分泌はぐっと盛んになり、そのため体重が急に増えて、皮下脂肪も1年間で今までの2倍くらいになる時期が来ます。そして体つきは急速に女性らしくなり、初潮を迎えます。
これまでの子供っぽい体型から急に女らしい身体になってしまったことにとまどい、「太ってしまった、細くなりたい」と強く感じる時期です。人によっては拒食症になり、逆に過食症から思春期肥満になったりすることもありますので、注意が必要です。
性成熟期の女性の脂肪
多くの女性にとって、性成熟期に妊娠、出産をします。
妊娠中は、胎児を育てるために無意識のうちに食べる量が増え、過食の傾向が生じます。その反面、妊婦の運動量は、極端に少なくなりますので、注意しないと体重はかなり増加します。出産を経ても、いったん増えてしまった体重はなかなか元に戻らないばかりか、授乳期にさらに増えることもあります。
育児優先になるあまり運動量が少なく、妊娠中の不規則な食習慣がまだ直りきっていないうえに母乳を出すためにまた食べることになり、ますます脂肪を体に貯めることになります。
人によっては、妊娠前に比べて10kgほど太ってしまう場合もあり、戻らなければ、脂肪の上にさらに脂肪を積み上げることになります。
また、性成熟期の肥満は、月経異常、不妊症などに結びつきやすく、肥満が進むと卵巣機能に障害が起き不妊症などになりやすいことが知られています。
更年期の女性の肥満
女性の40代後半から50代前半は更年期にあたります。
更年期に入ると女性ホルモンの分泌が低下して排卵の能力も落ちてくるため生理が不順になってきます。
更年期障害で苦しむ方には情緒不安定から過食に走り、太るケースがかなりあります。また、基礎代謝も次第に低下し、運動量の低下も加わって太る方が多いです。
肥満による過剰な脂肪は女性ホルモンの代謝に障害となり、子宮体がんを引き起こす原因になりますし、更年期以後はとくに女性ホルモンの低下による動脈硬化、骨粗しょう症も心配されますので、肥満には極力注意したいですね。
更年期の自律神経の働きをよくし、肥満を解消するためには、何よりも運動することが大切です。